個人再生 養育費

個人再生によっても養育費は減額・免除させることがありませんが、離婚後に養育費が減額もしくは免除させることはあるのでしょうか?

そして、養育費が減額・免除されるための条件とはいったいどういったものなのか?といった疑問にお答えしていきます。

キャラ(笑顔)

養育費は非減免債権というものにあたり、原則的に減額・免除させることはありません。

ただし、養育費を払う立場である方が何か手続きをすることによって積極的に養育費の支払いを減額・免除することはできませんが、ある一定条件を満たすと養育費の減額・免除が可能になります。

今回のブログ記事では、以下の2つのポイントについてお伝えしていきます。

この記事で分かること
  • 個人再生前後による養育費の取り扱いの違い
  • 養育費を減額・免除することができる条件

それではまず、養育費は個人再生を持ってしても、減額・免除されない理由についてお伝えしていきます。

個人再生の前後による養育費取り扱いの違い

養育費は個人再生を受けたとしても最終的な支払額には影響はありません。
キャラ(真面目)

しかしながら、個人再生を受ける以前に未払いだった養育費と個人再生以降に支払い義務が生じる養育費では取り扱いが異なります。

個人再生以前の未払い養育費

キャラ(真面目)

個人再生以前に支払うべきであったにも関わらず、支払われていなかった養育費が存在する場合は非減免債権として扱われます。

個人再生を受けている際には、債務整理の手続きを円滑かつ確実に処理するためにすべての債務に対する支払いが一旦保留されます。

この点は、養育費においても同様であり、債務の一種として計上されますが、支払いは個人再生の手続が完了するまでは支払いは行われずに保留されます。

また、個人再生では最大80%の債務を削減することができますから、個人再生の段階では債務総額に養育費も計上されているため、個人再生以降に支払う債務には、養育費の20%も含まれることになります。

ただし、前述したように養育費は『非減免債権』として扱われるため、最終的には残りの80%の養育費も支払わなければなりません。

非減免債権については、『弁護士加藤英夫.com』の公式ホームページで以下のように説明されています。

非減免債権

非減免債権とは、責任を減免されることが認められない債権をいいます。
民事再生手続によれば、債権の支払責任(義務)が最大で9割も減額が可能なのですが、非減免債権は減額が一切認められません。

出典:個人再生における非減免債権について | 弁護士加藤英夫.com
引用元URL:http://ben358.exblog.jp/6826449

非減免債権として考えられる債権は大きく3つの種類に分類することができます。

非減免債権の3つの種類
  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 故意又は重過失により加えた人の生命身体を害する不法行為
  • 養育者又は扶養義務者として負担する費用に関する債権に基づく損害賠償請求権 
悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権

悪意で加えた不法行為として考えられるものとしては、暴行傷害や窃盗、そして横領などの行為によって負担することとなった債権が当てはまります。

暴力行為や窃盗などにおいては、明らかに加害者の意図的な行為であることが分かりますから、『悪意で加えた不法行為』として判断されるわけです。

故意又は重過失により加えた人の生命身体を害する不法行為

故意または重過失により加えた不法行為としては、必ずしも加害者の行為が意図的である必要はありません。

例えば、自動車運転中の交通事故などは誰も意図的に起こそうとは思わないわけですが、交通事故などによって加えてしまった被害の債権も減額/免除させることはありません。

養育者又は扶養義務者として
負担する費用に関する債権に基づく損害賠償請求権

今回は非減免債権の中でも養育費についてお伝えしていますが、養育費や婚姻費用はこの分類に当てはまることになります。

子供の将来は大人の借金などの都合で閉ざされるべきではない といった社会通念上の常識から養育費も非減免債権として扱われるようになりました。

また、弁護士ドットコムの質問コーナーでも、『個人再生。この場合は養育費はやはり減額されるのでしょうか?』という質問に対して以下のような回答が弁護士の方から寄せられていました。

個人再生。この場合は養育費はやはり減額されるのでしょうか?

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養育費は個人再生の再生計画によって一旦は他の債権者と同様に減額されますが、計画弁済期間が経過した時点で本来の請求額から既に支払われた金額を控除した金額全額を請求していくことが可能です。

キャラ(真面目)

養育費支払義務を負う者が個人再生を申し立てる場合は,(1)再生手続開始決定までに生じた未払いの養育費と,(2)再生手続開始決定後に生じる養育費の2つに分けて考える必要があります。

まず(2)については,破産の場合と同様,個人再生の手続とは関係なく支払義務を負うこととなります(民事再生法119条・共益債権)。

すなわち,再生手続開始後に生じる養育費が減額されることはありません
(養育費減額調停などにより減額される可能性については別途考慮が必要ですが)。

一方,(1)については,他の借金等と同様に個人再生の手続内で処理されます。

すなわち,再生計画認可決定が確定するまでは未払い養育費の支払はストップされ,再生計画認可後に,再生計画案に定められた期間とカット率にしたがって,他の債権者と同じように支払いを受けることになります。

ただし,非免責債権は,他の借金とは異なり残額の免除が受けられませんので,法律の規定上は,例えば再生計画に基づく弁済期間が3年間,

返済率が20%であった場合,3年後に,未払い額の残りの80%を一括して支払う義務があります。

出典:個人再生。この場合は養育費はやはり減額されるのでしょうか? | 弁護士ドットコム
引用元URL:https://www.bengo4.com/c_3/c_1029/b_204947/

個人再生以降に支払い義務のある養育費

キャラ(真面目)

個人再生以降に支払い義務が生じる養育費に関しては、共益債権として今までどおり支払い続けることになります。

共益債権については コトバンクの公式ホームページで以下のように説明されています。

共益債権

会社更生手続き上,関係人の共益的原因に基づいて生じたことから,更生債権と異なった特別の取り扱いを受ける債権。破産法上の財団債権 (破産法) に相当する。

出典:共益債権 | コトバンク
引用元URL:https://kotobank.jp/word/共益債権-52439

一般的には、債務整理を行うとそれ以降は債務整理して残った借金残高のみを返済していくことになりますが、共益債権として判断された債務に関しては債務整理以降もそれ以前の契約通り借金返済の義務を追い続ける義務が生じます。

つまり、債務整理の影響を受けずに、従来のルールに則って返済する必要のある債権ということになります。

したがって、以上のポイントをまとめると 個人再生によっては、原則 養育費は減額・免除されない(非減免債権)ということになります。

さて、ここまでで養育費は原則 債務者が債務整理を行ったとしても 減額・免除といった対応を受けることはできない、ということについて解説してきました。

ここからは養育費が減額・免除できる条件についてご紹介していきます。

養育費減額・免除できる条件

元配偶者が再婚し、子供が再婚相手と養子縁組した場合

キャラ(笑顔)

離婚した元配偶者が再婚して、子供が再婚相手と養子縁組した場合であれば、子供の第二扶養者となるため支払い義務を取り消す申請をすることができます。

債務者が自発的に条件を満たせるものではありませんが、以下の2つの条件をみたすことが出来れば養育費の減額・免除が期待できます。

養育費の減額・免除の条件
  • 元配偶者(元結婚相手)が再婚している
  • 子供が再婚相手と養子縁組している

弁護士ドットコムでも、こうした条件が満たされている方が質問コーナーにて養育費の支払い義務について質問を投稿されていました。

養育費免除申請について:弁護士ドットコムでの質問1

キャラ2(疑問)

三年前に離婚し、最近再婚(男)離婚時に公正証書作成(子供1人6才)親権は前妻子供は前妻がひきとった。

最近その前妻が再婚して、その子供が養子縁組していたようです。

前妻はそれを隠し、養育費を払えと毎月取り立てのメールを入れてくるらしい 私は免除申請を出せると思うのですが減額請求しかできないのでしょうか?

キャラ(笑顔)

私は免除申請を出せると思うのですが 減額請求しかできないのでしょうか?

免除もありえます。免除を認めた裁判例もあります。

ただ,養親において資力が不十分なときには減額にとどまる場合もあろうかと思います。

出典:養育費免除申請 | 弁護士ドットコム
引用元URL:https://www.bengo4.com/c_3/c_1029/b_273119/

養育費免除。ポイントはなんなのでしょうか? :弁護士ドットコムでの質問2

キャラ2(怒り)

私は調停離婚をし、その際調停調書にて子供2人(13,11歳)に対し、養育費を各4万円払う約束をし、今まで滞りなく支払っておりました。

しかし、最近になり、子供の養子縁組、元妻の再婚が発覚し減額調停をすることとなりました。

私も再婚し扶養者が増えてた状況で、私の収入が800万、相手方が650万である場合、養子縁組もして、第二扶養者となっていることから養育費を月々ゼロ円と訴えようと思っておりますが、私の認識は間違っておりますでしょうか?

キャラ(笑顔)

正しいです。お子さんが元妻の再婚相手と養子縁組を結べばあなたの養育費支払い義務はなくなります。

出典:養育費免除。ポイントはなんなのでしょうか? | 弁護士ドットコム
引用元URL:https://www.bengo4.com/c_3/c_1029/b_302471/

ただし、以上の2つの条件が満たされていたとしても、再婚相手に十分な養育費を用意する収入がないと思われる場合には、養育費は全額免除ではなく、一部減額に留まることもあります。 

また、前述の質問でもあったとおり、元配偶者(元結婚相手)が再婚や養子縁組の事実を隠し、その事実が発覚しなければ養育費を支払い続けることになります。

ですから、真剣に養育費の減額・免除を考えられているのであれば、頻繁に元配偶者の生活状況について確認するようにしましょう。

最後に

今回のブログ記事では、個人再生を行った際の離婚後の養育費への影響についてお伝えしていきました。
キャラ(真面目)

個人再生以前に未払いだった養育費については『非減免債権』として扱われ、個人再生以降に支払い義務が生じる養育費については『共益債権』として扱われます。

原則として、債務者がどういった手続きをとったとしても養育費としての債務は減額・免除されることはありません。

ただし、元結婚相手が再婚し、子供が養子縁組をした場合であれば、養育費の支払い義務の放棄を申請することができます。

今回ブログ記事では離婚にともなう個人再生の影響についてお話していきました。

キャラ(笑顔)

結婚する際に個人再生や自己破産が及ぼす影響については、コチラのブログ記事で解説しています。